音楽理論でよく出てくる、「教会旋法」「チャーチモード」ってありますよね?
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・をレからスタートすればドリアンスケール。
ミからスタートすればフリジアンスケール~ってヤツです。
👆「あぁ~スタート変えれば取り出せる7つのスケールね」
って感じで、ちょっと勉強好きなロックギタリストなら知っている音楽理論。
しかーし!!
大体の場合、「イオリアンとメジャースケール、エオリアンとナチュラルマイナーが全く同じスケールでリディアンはスティーブ・ヴァイがよく使っているなぁ~」
位の感じで、終わっちゃうロックギタリストが多いんじゃないかなと。
で、その先のジャズで使われだす「モーダリティ・ミュージック」や、港に溢れるポップミュージックやロックなどに部分的に使われる、モードを使った技法については...
「ジャズわかんねーし、別にいいわ!」とか「結局ドレミファソラシドとなんが違うのよ」
ってロックギタリストが、ほとんどだと思います。
で、今回はロックギタリストにとって、謎多き「モード」について細かーく解説したいと思います。
トーナリティー(調性)とモーダリティの違いとは?
現在のポプュラーミュージックのほぼ99%は、トーナリティー(調性)で出来ている物がほとんどでありまして...
👆キーCで、説明するなら「ドレミファソラシド」が長調(Cメジャー)で、ルート音(起点)をラ「ラシドレミファソラ」にすると短調(Aマイナー)って1つの部屋に別キーの長調・短調が同居している構造になっています。(平行調)
C/Am部屋の電気を付ければCメジャー(長調)。電気を消せばAナチュラルマイナー(短調)+でハーモニックマイナーとメロディックマイナーを付加する事ができます。
で、この「ドレミファソラシド」で作れる和音(ダイアトニックコード)。
これにトニック・サブドミナント・ドミナントって役割(機能和声)を与えて、ダイアトニックコードをグルグル回して、コードを進行させるのが調性音楽システム。
で、👆この部屋が12個(注・👆は15個ありますが同音異名のダブりが3つあるので実質は12個)あり、部屋の中でダイアトニックコードを進行させ(時には別部屋に出たり入ったりして)曲が「映画のように進行していく」って構造になっています。
これが今、我々が聴いている商業音楽を、ほぼ支配している調性音楽(トーナリティー)の世界ってヤツです。
調性音楽の学習方法は「古今東西」色々な教え方はあれど、音楽の教科書や楽典を読んでも、万国共通で、結論は一緒で盤石です。
対するモード技法は、確固たる教科書も無く、実は理論形態としては未成熟で「あやふやな所が多い」ってのが現状です。
教会旋法(チャーチモード)から調性音楽~モーダリティ音楽の歴史。
「チャーチモード」はその名の通り、教会の音楽で用いられた技法で、8世紀~16世紀くらいまでの、西洋の音楽理論の基礎となるものでした。
👆まだハーモニーが未発達で、単音の旋律で聴かせていくの特徴っス。
メロディーの特徴は、メジャー(明)やマイナー(暗)だけじゃ分けられない、微妙なコントラストが有りますね。ここが重要。
で、教会音楽も12世紀あたりから段々ハーモニーが発達してきて...
17世紀あたりに、ヨハン・セバスティアン・バッハの「平均律クラヴィーア曲詩集」あたりから、西洋の音楽理論は12の調性と機能和声(コードね)に取って代わられるって歴史をたどります。
👆ハーモニーが発達して、「メロディーよりも背景のコードが物語を作っていく!」って感じの音楽で、音色は違えど、現代の商業音楽とほぼ同じ構造になっています。
メロディーの特徴は、メジャー(明)とマイナー(暗)が割と、はっきり分かれて聴こえますね。
こんな感じで、17世紀のバッハ以降、世界的に大流行する「調性音楽」ですが、20世紀にジャズの世界から、教会旋法を使った音楽のムーヴメントが起こります。
👆これが「モード・ジャズ」と言われる音楽で、その記念碑的作品がマイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」
モードジャズ以前のジャズは、調性の中でドミナントコード~トニックコードって感じで、進行しますが、モードジャズは極力コードを進行させずメロディーを際立出せるってのが特徴っスね。
そして「カインド・オブ・ブルー」でも吹いている、ジョン・コルトレーンが、さらにガチの「モードジャズ」を発展させる!って流れになっていきます。
このジャズ界で発達した、「脱調性」的技法が現代の「チャーチ・モード」の使い方で、ジャズだけにとどまらず、ポップス・ロックやヘビィメタルでも応用される技法になっております。
「チャーチモード」は遠い昔にサビれた技法なんですが、「モードジャズ」を通して現代に復権した!!って側面が有ります。
大雑把ではありますが、一見新しい技法のような「モード」ですが、太古の昔、教会音楽から始まり、「調性音楽」を経て、モードジャズって感じの歴史の流れになります。
「モード入門」7つのモード。名前を覚える。
まずは呼び名から。
7つのモードの語源はギリシャ語で、太古の呼び名は「イオニア」「ドリア」「フリギア」とかいいますが、教科書なんかでは👇の呼び名が定着しています。
👆これは、暗記事項なのでしっかり覚えておきましょう。
モード界でのイオニアンは、調性音楽界ではメジャースケールと全く同じ配列の音階。
同じくエオリアンも調性音楽界ではナチュラルマイナースケールと全く同じ配列になります。
覚え方ですが、私流で失礼します。井戸の芙理美はエロい。
イドのフリミはエロい。
👆下品ですんません。
下品な方が覚えやすいですが、各自覚え方を工夫して暗記しておきましょう。
7つのモード。ギターで弾いてみよう。
6弦をルート音して、Cイオニアン・Dドリアン・Eフリジアン・Fリディアン・Gミクソリディアン・Aエオリアン・Bロクリアンを3点ポジションで弾くとこんな感じ。
👆教科書通りに、C・D・E・F・G・A・Bって各モードを弾いても、結局はただメジャースケールを弾いているだけにしか聞こえないので、モードの練習としてはコレはダメっス。(メジャースケールの練習としてはOKですが)
各モードのサウンドの特色を際立てるには、すべてCに統一して練習するのが効果的。👇
👆弾くだけじゃなく、各モードの五線譜に有る、#や♭の数を気にしていただけると、なおよろしいです。
どうでしょう?
Cに統一して練習すると、各モードのサウンドが際立ってきますね。
この事は「何を示唆しているか?」っていうと...
調性音楽のコード進行上で、「モード」の技法使っても、効果は薄め。
「モード」の技法は軸音(ルート音)を固定して「ワンコード」で、コードが進行していない時に、その力を発揮する!!って事です。
今は?でOK。次回以降さらに詳しく解説します。
4指分離トレーニングを兼ねた、モードの練習法
最近、チャーチモードが面白くて、よく練習してます。
前回やった4指分離トレーニングの3番目のヤツ👇
この3点ポジションを7つのモードに当ててはめて、練習してます。
👆はCイオニアンです。
これをドリア・フリジア・リディア・ミクソ・エオリア・ロクリアに、あてはめてトレーニング。
7つとも同じキーCで、分離のトレーニングとポジションの把握が目的っス。すぐ覚えられる。
で、手持ちのマルチエフェクターでルーパーの機能がありましたら、バックにCのパワーコードを1発鳴らしてループさせます。
で、各モードで覚えたポジションを使って、ギターソロを作曲してみましょう。
コードが進行しないパワーコード1発をバックにすると、7つのモードのキャラクターが際立ちます。作曲して各モードのサウンドを体験して練習してください。
楽しくなると、ポジションを拡張して、世界がどんどん広がっていきますよ。
まとめ
チャーチモード自体は、太古の昔から存在した音楽理論で、調性音楽を経て、ジャズ経由で現在のポピュラーミュージックに復権した音楽理論って背景があります。
なので、現在は太古の教会音楽のような「ガチのチャーチモード」じゃなく調性音楽と絡み合った形で、チャーチモードが復権したって感じです。
なので、ちゃんと解きほぐさないと違いが「よくわからん」って話なんですね。
ガチのジャズ学校には、モードに関する教科書ありそうでが、庶民にもわかるモード音楽の理論書って無くて大抵はドから始めればイオニアン、レから始めればドリアン~って感じで投げっぱなしで終わるので、ロックギタリスト達には謎理論で終わっていしまいがち。
そんな中で、現在のモードを分かりやすく説明してくれたのが菊地成孔さんの講義👇
👆調性音楽は100回位で、その先に「モード」の話になるんですが...
とても楽しくモードについて解説してあるので、興味のある方はどうぞ。
なのでこの記事は、菊地成孔さんの「ゼロ文」に依拠した内容になります。
興味ある方はご参考に。
菊地先生はキーボードを使って教えてくれます。
モードに限らず音楽理論は、キーボードの方がわかりやすいので、ギタリストの方々は安っすいキーボードでいいので、ギターとキーボード両面で学ぶと、より理解が進むと思います。
菊地先生は、調性世界とモード世界を混ぜずに、ちゃんと分けて教えてくれるのが慧眼でして、多くの場合は調性と混ぜこぜで教えるので、イマイチしっくりこないっス。
調性音楽は、どの本でも誰が教えても大差なく教えてくれるんですが、「モード」は統一された教えが無く、教える人や時代によって大分、差があります。
この辺が「モード」技法の分かりずらい原因なので、1人の教えだけじゃなく、複数の教えを総合すると全体のイメージが掴めるんじゃないかなと思います。
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