【コード進行分析】ケーデンス・ラインを書いてコード進行を分析してみる。

40歳から始める音楽理論

前回やった「ローマ数字でコード進行を分析してみる練習」




このローマ数字で書くコードネームを「ディグリーネーム」って言いまして、コード進行の分析をする上で、とても役立ちます。


今回は「ディグリーネーム」にケーデンス(終止形)ラインを引いて、具体的にコード進行を分析する、やり方を解説していきます。


いちごメタル
いちごメタル

まずはダイアトニックコード群のそれぞれの役割(機能和声)を理解しましょう!!

どこかで聞いた事がある「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」ってヤツです。

「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」機能和声って何?

ダイアトニックコードの番地には、それぞれ役割(キャラ)ってのがありまして、これを機能和声っていいます。

👆これが超基本。メジャーのダイアトニックコードの機能っス。


3つキャラがありまして、ダイアトニック村の1丁目がトニック・4丁目がサブドミナント・5丁目がドミナント。必修なので丸暗記しましょう。



機能和声をキャラ的に例えて言いますと...


トニック「安定した響きの中心人物」


ドミナント「不安定な響きのドラマを作り出す人物」


サブドミナント「ちょっと不安定な、せつない感じの脇役的人物」って感じのキャラクターになります。


いちごメタル
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このキャラクターを組み合わせて、コードを進行させ物語を作って行くわけですね。


で、残りのⅡ・Ⅲ・Ⅵ・Ⅶにもキャラがありまして、それぞれ本家の音をもったコードでキャラが決定しています。


例えば、Cメジャーのダイアトニックコードで、トニックを見てみると...

👆この本家から見た、同じ遺伝子(同じ音)を持った、親戚的なコードのキャラを代理和音とか代理コードって言います。


👇ドミナントとサブドミナントの代理も混ぜると、この様なキャラ一覧表になります。これも必修暗記事項っス。

ケーデンス(終止)とは?

すべてのコード達はトニックに進行する事で、物語が終わります。


トニックに向かうコード進行を「終止」とか「ケーデンス」っていいまして...


サブドミナント➡トニックで「サブドミナント終止」

ドミナント➡トニックで「ドミナント終止」って形があります。


いちごメタル
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つまり、不安定な響き(ドミナント)から安定した響き(トニック)って運動を繰り返して、コードは進行し、物語を作ります。


G7(不安定な響きのⅤ7ドミナント)➡CM7(安定した響きのⅠM7トニック)って動いてスッキリ。


腹減った!!(ドミナント)➡ご飯食べた!!(トニック)って食べてスッキリ。


イライラしたので(サブドミナント)➡あいつをバットでぶん殴って(ドミナント)➡警察に自首しました。(トニック)スッキリ。


って感じで、機能和声は文法に似ています。

ケーデンス・ラインを書いてみる。

さっきの例えのように、曲の中には、この「終止形」が何個もあるので、物語が終わるって言うより


「~でした。」とか「~でございます。」


と言った文法の終わり形。段落のような働きをします。

👆は、Ⅴ7ドミナントからⅠトニックに行く「ドミナント終止」の書き方。弧線を書きます。

で、Ⅴ7ドミナントからⅢm7もしくはⅥm7などの代理トニックに行くケーデンスの書き方は👇。

この代理トニックに進行するコードを「偽終止」って言います。こんな感じで、2本線の弧線を書きます。


弧線を書いて「終止形」を分析していくわけですね。



いちごメタル
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ケーデンス・ラインは「ドミナント7➡トニック」っていう「ドミナント終止」の時にケーデンス・ラインを書きます。「サブドミナント終止」では書きません。




つまりⅤ7が出てきて、トニックに動いたら書きますし、「セカンダリードミナント」(注・【セカンダリードミナントの「ツー・ファイブ」で楽々アレンジ】を参照してください。)の時も書きます。


セブンスコードに注目って感じですが、終止しないセブンスコードもあるので、ご注意(メロディックマイナーのⅣ7とか)してください。


👇ちなみに、セカンダリードミナントは2次ケーデンスって呼び方もあります。

ツー・ファイブのラインの書き方。

ドミナント終止は、サブドミナント➡ドミナント➡トニックって進行すると、強力に終止します。

👆のようにⅣ➡Ⅴ➡Ⅰって動くのが「サブドミナント➡ドミナント➡トニック」で終止する王道パターン(俗にいうスリーコードとか主要和音ってヤツ)ですが、ベースラインが完全4度で力強く進行する、Ⅱ(代理サブドミナント)➡Ⅴ(ドミナント)➡Ⅰ(トニック)って終止する形が、現代のポピュラー音楽でよく使われます。


これを「ツー・ファイブ」とか「ツー・ファイブ・ワン」って言います。




終止といえば「ツー・ファイブ」ってくらい、よく耳にする重要なコード進行なので、ケーデンス・ラインとセットで、このコード進行にも記号を付けて書きます。👇


ダイアトニックコードのⅡ➡Ⅴの時、以外の「セカンダリー・ドミナント」の時も、他のキーからⅡ➡Ⅴを引っ張り出す事が出来るので、その時も👇の記号を書いて分析します。


以上が基礎的な、ケーデンス・ラインとツー・ファイブ・ラインの書き方になりますが、実は厳密な書き方のルールってのは無くて、時代や流派によって書き方が違う場合があるので、ご了承ください。


いちごメタル
いちごメタル

大雑把にツー・ファイブと終止がわかる記号を、書けていればOK。

ここまで分析できれば、コードの書き換えが可能になります。

ケーデンス・ラインを書いてコード進行を分析してみよう。

例題として、簡単なコード進行を「ケーデンスライン」を書いて分析してみましょう。


次のコード進行にディグリーネームとケーデンス・ライン。機能和声を書いて分析してください。


問1

問2

問3

問4

問5

答え合わせと、解説。

問1。

左端の調号が、#1つなので、キーはG/Eマイナーって事なんですが、調号がわからない場合は、セブンスコードの次のコードに注目。


4度・5度で進行するGなので、Gメジャーかな?って推測できます。


Gメジャーのダイアトニックコードに沿って、ディグリーネームと機能を書いていきます。



問2

キーは♭2つで、B♭/Gマイナーって推測できます。


Ⅴ7の後に代理トニックのⅢm7が来てるので、偽終止の記号で書きます。


ダイアトニックの序列が理解出来ていれば大丈夫。


問3

#が2つで、D/Bマイナー。F#7は4度先のBmに動いているので、「Bマイナーだ!!」って推測できます。(DメジャーならA7が出現するはず)


マイナーのツー・ファイブのⅡはm7(♭5)です。Ⅶm7(♭5)と間違わないように注意。


マイナーにも機能和声はあります。詳しくは👇で。



メジャーの機能和声は分かりやすく、盤石なんですがマイナーの機能和声は、結構曖昧で理論書みてもあやふやな所が多いっス(SDとDの二重機能だったりとか。)


マイナーの機能和声は考えすぎないようにしましょう。


問4

#・♭なにも付かないので、Cメジャーが想定されます。


手順に従い、全部にディグリーネームを振るとダイアトニック以外のコード(E7・C7・A7)が出て来ます。

こいつの出所は...


E7はAm7をⅠトニックに見立てた「セカンダリードミナント」で、セットで付けれる「ツー・ファイブ」のBm7(♭5)➡E7➡Am

C7はFM7をⅠトニックに見立てた「セカンダリードミナント」で、セットで付けられる「ツー・ファイブ」のGm7➡C7➡FM7

A7はDm7をⅠトニックに見立てた「セカンダリードミナント」で、セットで付けられる「ツー・ファイブ」のEm7(♭5)➡A7➡Dm7


で、最後に通常の「ツー・ファイブ」で1小節目のⅠトニックに解決!!って構造になっています。

問5

コード進行だけみると、A♭メジャーに見えそうですが、4小節目の「B♭m7・E♭7」はA♭M7のセカンダリードミナントで、2小節目のG7がこのキーの本命、Ⅴ7です。

つまり、キーはCマイナー。


問題は6小節目のG7と7小節目のF7の解決先。


G7はⅤ7ですが、行き先が未解決のⅤ7って扱い。


いちごメタル
いちごメタル

終わらせないで、不安定な感じを引っ張りたい時に出てくるⅤ7。

トニックコードに行かないので、ケーデンス・ラインは書かない。



F7の出処は、メロディックマイナーのダイアトニックⅣ7で、セブンスコードですが、解決しないセブスコード。


Ⅳ7はドミナントの力を持たない、セブンスコードでキャラ的には「サブドミナント」に分類されます。

いちごメタル
いちごメタル

12小節ブルースのコード進行に出てくる、Ⅳ7(AマイナーのブルースならD7)コードの感覚でセブンスコードだけどドミナントの解決感の無いインポ(機能不全)なセブンスコードってイメージです。



まとめ

今回は各コードの機能と、「ケーデンス・ライン」と「ツー・ファイブ」のラインの書き方を解説しました。


コード進行に、「ディグリーネームを振ってケーデンス・ラインを書く」


これでコード進行の構造って言うか、コード進行の文法ってのが見えてくると思います。


構造が分かれば、コードを書き換えて自分なりのアレンジが可能になります。


次回は具体的な書き換えのやり方を解説したいと思います。


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