この記事では、メジャー(長調)とマイナー(短調)を混ぜて使う「同主調」について書いています。
えっ!メジャーとマイナー混ぜちゃってイイんすか?
なんか、メジャーとマイナー混ぜちゃう音が外れる感じで、不安になりますが、同じキーのメジャーとマイナーの関係は「同主調」って言って転調の中でも「特別枠」的な存在。
「同主調」と似て非なるものに「平行調」があります。キーCでいうとC/Amの関係ですね。
今回の「同主調」はキーCでいうとC/Cmの関係。これをギターで弾いて、遊びながらコードの動かし方を練習しようって作戦です。
「なんだかよくわかんねーや!」
って方も、動かし方のパターンだけでも覚えておけば、簡単にコードのアレンジが出来る様になりますし、何となく理屈と動き方だけでも、手癖にしちゃえば「あっ!この曲同主調だ!」って気が付く様になりますし、コード進行の面白さにハマるキッカケになればイイなーって思っております。
まずは、大基礎メジャーダイアトニックコードを覚える。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・の7音だけで出来ているコードを「メジャーダイアトニックコード」って言います。
で、3つ積んだトライアドと4つ積んだ4声のセブンスコードまでの序列は覚えておきたい所っス。
このコードの序列は、必修科目なので、是非覚えておきましょう。
メタラーの方でも、きっと役に立つはず。面倒くさいですが小学生の九九よりは簡単なはず。このコードの序列は、なにも見ないで紙に書ける位にしておくのが吉。
で、ここから本題で、Cメジャーを改造して「同主調」のCマイナーを作ってみましょう。
はい。CメジャーのⅢ番目とⅥ番目とⅦ番目を半音下げるとCマイナーが出来ます。C/Cm=「同主調」っス。
マイナーに改造されたので当然コードネームも変わります。
「同主調」=C/Cm=これはキーが変わるので転調してるって理解しましょう。
CメジャーとCマイナーのダイアトニックコードを見比べてみると...
話を「同主調」に戻します。「同主調」の2つのダイアトニックコードを見比べてみましょう。
こうしてみると、♭3つ改造されるのでコードネームは変わりますが、コードの序列(M7ーm7ーm7-M7-7-m7-m7(♭5)って並び)は、スタート位置こそ変わりますがそのままの順番で並んでいるのが分かります。👇
マイナーのダイアトニックコードのⅠm7は元Ⅵm7だな。Ⅱm7(♭5)は元Ⅶm7(♭5)だな。♭ⅢM7は元ⅠM7だな。って感じでメジャーとマイナーセットでイメージ出来るとイイっすね。
メジャーとマイナーのダイアトニックコードを混ぜて弾いてみよう!
ちょっとお遊びで、メジャーとマイナーのダイアトニックコードを適当に弾いてみましょう。
どうでしょう?適当に弾いてもビミョーに変な感じにならないのが面白いところで、ダイアトニックコードだけでコード進行作るのに、飽きたら同じキーのマイナーダイアトニックコードを適当に混ぜるだけでも、アレンジの幅が広がるって寸法です。
メジャーとマイナー混ぜ混ぜの例題集。
自由に混ぜるって簡単に言っても、漠然とし過ぎて、よくわかんねーや!
って方に混ぜ混ぜのパターンを何個か用意しました。何だかわかんないけど、まずは、動き方だけでも覚えてちゃえ!って作戦です。
Ⅱ-Ⅴ-Ⅰを混ぜ混ぜにしちゃう。その1。その2。
キーをCメジャーで書くとDm7-G7-CM7。いわゆる「ツー・ファイブ・ワン」です。
これの「ワン」の部分を、マイナーのダイアトニックコードの「ワン」に書き換えちゃう。
明るく着地すると見せかけて、暗い所に着地する!ってやり方です。
ちょっとした意外性や、裏切り感を演出してくれるコード進行っすね。
もちろん逆バージョンのあります。Cマイナーの「ツー・ファイブ」Dm7(♭5)-Gm7-Cm7。これを...
Gm7は自動的にG7に書き換えられることがほとんどですので、(Gm7はドミナントとしては、弱いからっス。)マイナーの「ツー・ファイブ」は基本的にⅡm7(♭5)-G7ってなります。
で、Cm7に着地すると見せかけて、CM7に行く!って進行です。
ギターで弾いてみよう。「その1」「その2」のコード進行「エクササイズ」
使いやすいようにする為、あんまりポジション移動しないフィンガリングで作ってみました。理屈は、わからんが取りあえずこのプリセットパターンだけでも覚えちゃってもイイです。
弾くと...Ⅱm7-Ⅴ7-Ⅰm7。明るい所から暗い所への裏切りパターン。
で、Ⅱm7(♭5)-Ⅴ7-ⅠM7。暗い所から明るい所に裏切るパターン。
こんな感じで、プリセットパターン的な感じにすると使いやすいっス。まずは弾いて覚えちゃえって作戦です。
ついでに裏コードも混ぜ混ぜ。その3。その4。
「同主調」の話から外れるんですが、せっかくなので「ツー・ファイブ」ファイブを「裏コード」に書き換えるパターンも覚えちゃいましょう。
【裏コードとは?】表と裏を使い分けてコード進行をアレンジしちゃおう。
話は簡単で、さっきの「その1」のパターンのG7(Ⅴ7)をD♭7(♭Ⅱ7)に書き換えるってだけです。
大変使い勝手が良いので、「同主調」の話とは違いますが、これもプリセットパターンとして覚えておきましょう。
ギターで弾く。「その3」「その4」のコード進行エクササイズ。
Ⅱm7-♭Ⅱ7-Ⅰm7。Ⅴ7を裏コードにした、明るい所から暗い所に裏切るパターン。
で、Ⅱm7(♭5)-♭Ⅱ7-ⅠM7。V7を裏コードにした、暗い所から明るい所に裏切るパターン。
その5。ドミナントマイナーとドミナント7を混ぜちゃう。
マイナーダイアトニックコードのⅤm7はドミナントとしての役割としては、弱いので常にⅤ7に取って代わられる残念な立場のコードですが、もちろん使い道はあります。
始めは、優しいドミナント(Ⅴm7)で、♭ⅥM7に行って次は強いドミナント(Ⅴ7)で、終始って感じでドミナントに濃淡をつけるコード進行。
何が何でもⅤ7で、ドミナントしなくてもイイって事ですねー。
試しにVm7をV7にして、弾き比べてみると、V7だけだと勇ましい感じ。やっぱりVm7とV7を使い分けた方が繊細でイイ感じっス。
ギターで弾く。「その5」のコード進行エクササイズ
ドミナントを使い分けるってイメージっすね。
その6。Ⅱ-Ⅴの配置を混ぜ混ぜ。
メジャーダイアトニックコードの「ツー・ファイブ」の動きを、そのままマイナーダイアトニックコードに移植する感じのやり方。どういう事かといいますと...
上の図をみるとマイナーダイアトニックコードのⅣm7-♭Ⅶm7(♭5)は元Ⅱm7-Ⅴ7って事がわかりますね。この元「ツー・ファイブ」の動き方だけを移植する。
つまり元メジャー界「ツー・ファイブ」ーマイナー界の「ワン」って動き方っスね。メジャー界目線でみると、ⅡⅯ7-V7-Ⅵm7「代理トニック」に解決する「偽終止」的な動きでもあります。
通常のツー・ファイブ・ワンとは違う感じの終止形って感じです。
ギターで弾く。その4コード進行エクササイズ。
これもよく使われる、ケーデンス(終止形)の動き方なので、もうプリセット化して覚えちゃいましょう。
V7同様に♭Ⅶ7も裏コード化出来ますので、余裕がある方は試してねー。
楽曲でみる「同主調」
実際にどんな曲で、「同主調」が使われているかみてみましょう。
ビートルズの「ペニーレイン」
1番大胆で分かりやすい「同主調」として、ビートルズの「ペニーレイン」を挙げておきます。
これ凄いっスねー。楽しい気分で歩いていたら、急に暗い気持ちになっちゃったんだけど~すぐ気分良くなりました♪って感じのコード進行。
「同主調」に無いコードがありまして...G#m7(♭5)は3つのマイナーの1つメロディックマイナーから引っ張ってきたもの。sus4はⅤ7の前に置く飾り物って感じ。
3つのマイナーについては、こちらで詳しくやっています。👇
脱パワーコード!3つのマイナーダイアトニックコード。覚え方編。
で、この後サビでもう1回転調するっていう、けっこうアクロバティックなコード進行ですが、それでも親しみやすいポップソングに仕上がっているのが凄いところ。
TMネットワークの「ゲット・ワイルド」
これは、巧妙な感じ。「ゲット・ワイルド」のパターン。
イントロはAマイナーのコード進行で進んで、次のテーマでCmに行くってパターン。
Aマイナー=Cメジャーなので、CメジャーからCマイナーの「同主調」をキメているんですが、聴かせ方はCメジャーの「平行調」AマイナーからのCマイナーっていう、マイナーからマイナーって感じでさりげなく転調していますねー。技ありって感じです。
こんな感じで、コード進行を分析すると楽しいので、皆さんも日頃聴いている曲のコード進行を書き出してみると、(ローマ数字で書くとイイ)より理解が深まりますので、お試しあれ。
まとめ
こんな感じで、ダイアトニックコードは同じキーのメジャーとマイナーは「混ぜても大丈夫」って事ですねー。
普段聴いてる音楽にも、よく潜んでいるので...
「あっ!急に暗くなった!」とか「微妙に明るくなったな!」
って気が付くようになればいい感じです。
自分で曲作る方は知っていると、コード進行のアレンジの幅がグッと広がりますので、覚えて損なし。困ったら同じキーのメジャーかマイナー混ぜちゃえ!!って感じで使うと、今まで思いつかなかった意外な展開になる可能性を秘めたコード進行を使えるようになります。
「何だかわかんねーや!」って方も、その1とその2だけでも、運指練習として使えばきっと役に立つはず!!ってくらいⅡ-Ⅴの進行は無数にあるので、取りあえずこれだけでも弾いてみましょう。
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