最近、リズムに関する勉強をしてるんですが、中でも面白いのは、菊地成孔さんの「モダンポリリズム講義」が好きです。
第1回から、ずーと見ていて「ヤング・ギター」なんかじゃ絶対に教えてくれない、リズムの面白さを教えてくれる授業っスね。
全部で92回の講義なんですが...👆前半の重要なポイントは、3拍子・4拍子を聞き分ける「クロスリズム」の構造を学ぶんですが、実際に自分でやってみると...
おぉ...スゲェー!!同じ音源なのに、聴こえ方が全然違って聴こえるわ!!
って感動がありまして...ごく初歩的な3拍子・4拍子クロスリズムなんですが、凄く面白いっス。
これだけでも覚えておくと、音楽をやるうえで大変な財産になるので、私も含めてリズムに関しての興味が薄い、メタラーの方も学んで損なし。楽しいっス。
中盤に差し掛かると、1拍5連のリズムの講義があるんですが、これも面白い。
👇のように、4分音符・8分音符・16分音符を全て連符に置き換えて見てみると...何故か...
ご覧の通り、ポピュラーミュージックの世界では、1拍1連(4分打ち)1拍2連(エイトビート)1拍3連(シャッフルビート)1拍4連(16ビート)1拍5連のリズム(ほぼ無視される)1拍6連のリズム(チャンカ・チャンカって感じの祭り的な三連の倍速リズム)1拍7連(まぁ無い)1拍8連(32分音符)くらいは広く認識されております。
1拍・7連8連に関しては、リズムというよりは、1拍に7個8個速いフレーズを詰め込んだ感じの譜割でノリって感じはないっスね。
ポピュラーミュージックで使われる、リズムと言えば1連~6連までかなと。
そう。1連~6連は4分打ち・エイトビート・シャッフルビート・16ビートって発展しましたが、何故か5連だけ無視されるってか発達しなかったんスね。
今の音楽ソフトなら1拍5連も普及していますが、昔のソフトだと平気で、1拍5連は打ち込めなかったりします。
どんな理由か定かではないですが、古くクラシック・バロック音楽から21世紀最近まで、欧米の音楽において5連のリズムってのは仲間外れにさせられている!って菊地さんは指摘されております。
1拍6連のバロック音楽を5連のリズムで聴いてみると...
1連・2連・3連・4連・6連って音楽は、欧米のクラシック音楽のリズムでも発達しているんですが、現在のポピュラーミュージックの世界でも、5連だけなぜか流行らない。
はたして5連は本当にダメなのか?って感じですが、この疑問に応える音源がありまして...
ご存知・バッハの「ブランデン・ブルグ交響曲」の中の有名な1節。
リズム・メロディーどこを取っても隙の無い、完全無欠のバッハ節。
楽譜では8分の6で表記されてますが、聴こえ方は1拍6連のリズムで、カチカチの6連のリズムですが、とてもグルーヴィー。これからも時代が変わっても愛される、強度のある作品っスね。
そんなイジリようのない完璧なバッハの作品ですが、「モダンポリリズム講義」の第24回で、大変面白い実験音源がありまして...
この5連のリズムが無い時代に、「バッハが5連の曲書いたら、どんな感じだったか聴いてみたいね」って夢想に答えた音源を聴かせてくれました。👇これ。
分かったでしょうか?
これは菊地成孔さんの生徒さんで、PCを使って「ブランデンブルグ」の6連の6番目の音を全部切り取ったって作品です。通称「8分の5バッハ」
スゲェーよく思いつたなぁ。
どうでしょう?
普通にイイんじゃない?ってのが私の感想なんですが。皆さん、いかがでしょう?
完全無欠のバッハをイジったら「いびつで変な物」になると思いきや、むしろ6連より5連の方がグルーヴィーでスッキリ。5聴いてから6を聴くと6の方が「どんくさく」聴こえます。
聴きなれない1拍5連のリズムですが、この8分の5バッハを聴くと、とても魅力的で、これからまだまだ発展する可能性があるリズムって感じました。面白いっスね。
1拍5連のリズム。どうやったら取りやすくなるか?
普段聴いたことも、取ることもない1拍5連のリズム。
👆一番有名なのは「せ・た・が・や・く」って言葉で念仏を唱えるのが、有名っスね。
試しにギターで弾くと...
オルタネイトピッキングで弾くと、1拍目がダウンで2拍目がアップで拍ごとにダウン・アップが入れ替わるって構造になっています。
慣れないと難しく感じますが、4連や6連とはひと味違う、速弾きなんか出来そうっスね。
「せ・た・が・や・く」って5連を全て繋げるより、2番目の「た」と4番目の「や」を無音にすると、凄くグルーヴィーになります。👇重要。
「せ・(ん)・が・(ん)・く」=「せんがんく・せんがんく・」もしくはタイで繋げて「せーがーく・せーがーく」だと、分かりやすいかも。
この「訛っている3連」って感じのリズムにすると5連のリズムが掴みやすくなります。
この念仏を唱えながら、ギターのカッティングに使うとイイ感じ。
これを練習すれば、1拍5連のリズムってのが掴みやすく、実践でもすぐ使えるんじゃないでしょうか?
お試しください。
5連のリズムを使えるようになると、どんなイイ事があるの?
世の中には1拍5連のリズムってのが、中々ないんですが、「モダンポリリズム講義」の菊地成孔さんは、どの作品にも必ず5連の楽曲を作っておられる!ってくらい5連に取り付かれたミュージシャンで、5連に関してはエキスパート的な存在です。
我々メタラーにとっては、お馴染みギタリストの大村孝佳さんが参加しているDC/PRGの作品なんかが5連入門に最適なんじゃないかしら?👆
DC/PRGはとにかく、1拍の中に色んなリズムが同時に走る!っていうアフリカのパーカッションみたいなリズムアレンジが特徴で、菊地さんはこの、1連~6連のリズムが同時に進行するリズムを「虫が湧く」っ言い方をします。
なるほど。アフリカの音楽は3連虫・4連虫・5連虫がブンブン飛び回っている様な感じの音っスね。
👆ここまで虫が湧くと、もう「何が何だか分からない!」ってなりますが...
よく「黒人特有のリズム」とか「ネバったノリで」とか言って、楽譜じゃ表現できないノリってのがある訳ですが、菊地さんは5連を導入すれば、アフリカの独特なリズムも解析しやすくなるって主張をします。
確かに先ほどの「せ・(ん)・が・(ん)・く」なんかは、楽譜では書けない「訛った3連」とか独自のグルーヴとか言って「あやふやな表現」に終止します。
5連が頭の中に入っ入れば、この「独自のグルーヴ」っやつも日本人でも簡単に表現できるし、楽譜にも記譜する事ができます。
👆「せ・(ん)・が・(ん)・く」は2番目・4番目を無音にして、訛った3連を作りだしますが、その他にも2番目・5番目を無音にすれば、違った感じの3連訛りに聴こえますし、3番目だけ無音にすれば、訛った4連も作れる。
ゆっくりテンポだと、明らかに5連って感じですが、テンポをどんどん上げると、アフリカ特有の訛った3連や4連が生成されるって仕組みです。
なるほど。これなら「感」とか「センス」に頼らず誰でも、アフリカ的なリズムを表現できる!!って利点がある訳ですね。
これは「きゅうりに蜂蜜をかけるとメロンの味になる」とか「プリンに醬油をかけるとウニの味がする」って話で、アフリカの人達は5連なんて感じてないよ!!ってミュージシャンもいたりして、意見が分かれる所だったりしますが...
今や私はもう、アフリカ音楽は5連が入力されている!!ってしか聴こえないっスね。
仮にただ気まぐれで、本当に3連・4連が訛っているだけだとしても、5連の存在を意識して聴いた方が、この「訛り」を掴みやすくなるのは間違いと思いました。
まとめ
難しい事は置いておいて...
「8分の5バッハ」聴けば、5連の可能性や魅力ってのが一発でわかるはず!!とても面白かったので今回記事にしてみました。
1拍を「せ・た・が・や・く」って念仏を唱えると、簡単に5連が掴めるので、念仏を唱えながらスケールを弾いたり、カッティングの練習だけでも今までにない「新しいリズム感」や「フレーズ」が作れるんじゃないかなと思います。
コツとしては、「せ・た・が・や・く」の2番目・4番目を無音にする「せ・(ん)・が・(ん)・く」(菊地さんの講義では、「きんくんち」)って念仏に言い換えれば、速いテンポにも、対応出来て「せ・た・が・や・く」よりもグルーヴィーな5連を簡単に作れます。
これだけでも覚えておけば、かなりリズムのバリエーションが豊かになります。
お試しあれ。
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