前回はナチュラル・ハーモニック・メロディックって3つマイナースケールから、「ダイアトニックコード」を作ったり、弾いてみたり、コード群の序列を覚えたりする練習をしました。
要約すると...
この3つの「ダイアトニックコード」の出来た理由や、覚え方を解説したんですが今回は、
「これを実践でどう使うの?」
どんな使われ方をしているの?って事を解説します。
【選抜】マイナーダイアトニックコードの代表を決めてみる。
3つのラインで出来た総勢21のコード群。
これを混ぜて使いこなす訳ですが...
こんなの全部覚えられなし、どう使ってイイかよくわかんない!
って方のために、この21個から代表的なコードを選抜して、使いやすくしてみましょう。
まず、ナチュラル・ハーモニック・メロディックの3つのスケールを「ガチャン!」と、統合します。
で、この統合した背番号から代表コードを選んでみます。
あくまでも、一般的に使われるであろう、「ベタ」なコードを選んでみました。
まずは、Ⅰ。
これはm7かmM7って選択ですが、ここはm7で決まりでしょう。Ⅰでドッシリさせたいなら、7をとってトライアドのⅠmってしちゃうのがベターか。
Ⅱ。
明るめのⅡ-Ⅴを作りたいならm7でもイイ感じですが、マイナーなのでここはⅡm7(♭5)が有力っス
♭Ⅲ。
これは(#5)だと響きがキツイので、ⅢM7がベターでしょう。
Ⅳ。
ここはⅣm7が有力ですが、Ⅳ7もマイナーの中にブッこむと中々爽やかでイイっス。ブルースのⅣ7って解釈も出来たりしますが、とりあえずm7で。
Ⅴ。
ここはトライトーンをもつⅤ7で文句無し。
♭Ⅵ。
ここは♭ⅥM7のⅠの一択になります。
Ⅵ。
これも一択。Ⅵm7(♭5)で。
♭Ⅶ。
これも一択。♭Ⅶ7。
Ⅶ。
dim7かm7(♭5)ですが、せっかくなのでレアキャラのdim7を使いたいっス。
で、結果このようなメンバーになりました。
これで、だいぶスッキリ使いやすくなったんじゃないでしょうか?
21個覚えるのが、しんどい方はまずお試しで、この9個を覚えてオリジナルのコード進行を作って遊んでみるとイイっス。
適当に繋いでも破綻しないので、まずはココから。
「ダイアトニックコード」をギターで弾く運指トレーニング。
紙に書いて、「ダイアトニックコード」の並びを覚えるのも大事ですが、実際にギターで弾いてコードの響きや押え方を覚えるのも大事っス。
そこで、5弦ルート・6弦ルートの使いやすい押え方のコードを複数用意した「エクササイズ」を考えてみました。
キーCmで作りましたが、フレットを移動すれば、どのキーでも対応出来ます。
キーCmを完全にものにしたら、次はAm・Em・Dm~ってキーを変えて飽きないように練習メニューを更新していきましょう。
下降すれば、綺麗な「ラインクリシェ」になるので、これだけでも、いい曲が一杯作れそう。
ウォーミングアップの運指練習にも最適で、毎日5分。コードネームと押え方・響き・運指練習って3つの効能がございますので、練習の「おかず」に活用してみてください。
この9個だけでも、かなりバラエティーで豊かなコード群になりますし、町に溢れるマイナー調の曲コード進行の骨格になっていますので、マイナー調の曲のコードを採譜したりコピーする際は、このコード群を手掛かりにると、探りやすくなります。
毎日弾いてれば、コードの響きを自然に覚えられます。
ある時、何気なく聴いた曲のコードが「何のコードか分かった!」って所までくればいい感じっス。
ライン・クリシェから学ぶ。21のダイアトニックコードの使い方。
マイナー調の曲で、よく出てきて数多の名曲を生み出したコード進行に「ライン・クリシェ」があります。
半音ずつ下降するパターンのコード進行が有名ですが...
半音ずつ下がるコード進行のサウンドはわかるんだけど、使われているコードの出どころが良くわかんない。
ただ半音ずつ下がればイイって物でもなさそうだし...
「ラインクリシェ」のコード進行も21のダイアトニックコードに当てはめれば、出どころがわかりやすくなります。
先程の【選抜】ダイアトニックコードを下降するすれば、G7まで半音ずつ下降する事ができますね。
では、どのような軌跡で進行しているか、1つ1つ見てみましょう。
G7から半音ずつ下がれないので、打ち止め。
丁度Ⅴ7のドミナントコードなので、そのままⅠのCm7に解決してもイイっすね。
コードの内側の「ラインクリシェ」を導いてみる。
選抜コードを下降するラインクリシェの他にも、コード内の音を下降するタイプのマイナー系ラインクリシェもよく出てくる定番コード進行。
この「ラインクリシェ」も3つ「ダイアトニックコード」から導く事が出来ます。
ターゲットはCmのルート音のオクターブ上のこの音。
これを半音ずつ下がっていくってクリシェ。
一見すると「ダイアトニックコード」以外から導いた感じですが、ちゃんと「ダイアトニックコード」の中から導く事が出来ます。
スタートはⅠm。セブンスを省略したCm。3本共通で持っていますので、どっからでもスタートできます。
次に3弦4fに下がったコードⅠmM7。ハーモニックのトニックCmM7が来ます。
さらに3弦3fに下がると、ちょうどよくナチュラルのトニックⅠm7。Cm7にいきます。
3弦2fに当てはまるヤツはF7。メロディックマイナーのⅣ7ですね。これを当てます。
大体ここで、一旦打ち止めにする事が多いですが、さらに3弦1fに下がってFm7に行くのもイイ感じ。
もう一声!E♭M7。E♭M7(#5)って手も有りますが、やはり(#5)無しのほうがイイ響き。ここまでマイナーのダイアトニックコード内で半音進行できます。マイナーダイアトニック内にG♭が無いので、ここまで。
最後はDm7(♭⁵)-G7-Cm。ツー・ファイブ・ワン。で、解決してみました。
さっきの表で軌跡をたどるとこんな感じ。
この様に一見するとダイアトニックコードの外から持ってきたような、ラインクリシェですが、ちゃんとダイアトニックコード内に収まっているんですねー。
マイナーダイアトニックコード。機能和声の一覧表。
理論書を読んでると、メジャーのダイアトニックコードの機能和声は明確に記されているんですが、マイナーダイアトニックコードの機能和声については、ハッキリ記載されているものが何故か少ない。
マイナーにも機能和声がありまして...
♭3つ付くナチュラルマイナーの機能和声は、トニックマイナー・サブドミナントマイナー・ドミナントマイナーって機能和声があります。
で、♭が2つの「ハーモニックマイナー」ですと...
注目はⅤとⅦがDm(ドミナント・マイナー)からD(ドミナント)に変わります。
♭ⅦがⅦに変わることでメジャーの機能和声が混ざってきます。
♭1つの「メロディックマイナー」は...
さらにメジャーの機能和声が混ざって、明るめのマイナーに雰囲気が変わります。
って感じで♭が取れるにつれて、メジャーの機能和声が混ざってくる構図になります。
最終的には♭Ⅲの♭も取っちゃってメジャーのダイアトニックコード(同主調のメジャー)を混ぜた4つのラインでコードを組む事が出来ます。
つまりマイナーの機能和声をメジャーの機能和声に入れ替えれば、「すごく暗いマイナー」や「ちょっと明るめのマイナー」って感じでコード進行に明るさと暗さの濃淡をつけるアレンジが可能になります。
この機能和声を使った「一番おいしいアレンジ」の仕方と言えば...
メジャーの「ダイアトニックコード」のSDをSDmを差し替えるアレンジが有名。
サブドミナントのⅣM7をⅣm7のサブドミナントマイナーに差し替えると、ちょっと陰が掛かった「明るい曲」なんだけど切ない!!って雰囲気が演出出来ます。
このSDをSDmに差し替える技法は、簡単に「切なさ」を出せるアレンジなので覚えておくと便利です。
もちろん代理の<SD>もSDmに差し替えてもOK。
マイナーの機能和声が増えると、暗い雰囲気が強くなります。
他にも、トニックをトニックマイナーに差し替えても、もちろんアリですが(自分がよいと思えば何でもアリなんすけどね)こちらは「ガラッと」雰囲気が変わっちゃうので、使い方は難しい。
あとは、ドミナントをドミナントマイナーに差し替えてみると「優しいドミナント」って雰囲気になります。
これで、単調な雰囲気のメジャーのダイアトニックコードもイジれるようになります。
お試しください。
機能和声の注意点。難しいところは?
私の乏しい知識で、マイナーの機能和声の事を書いてみましたが、実はマイナーの機能和声の理論って隙だらけって言うか、ツッコミどころ満載で、「なんでこうなるの?」って所をちゃんと説明した本って見た事ないっス。
難しいっス。てか、釈然としない。
例えば...♭ⅥM7。
SDmって事なんですが、TmのⅠm7と構成音は3音持ちで、ほぼ一緒。
なのでTmじゃん。
だけど「サブドミナントに聞こえるから「SDm」である。」とか二重機能で、両方OK!とか理論書に書いてあったりして結構曖昧っス。
♭Ⅶ7もSDmなんですが...
セブンスでトライトーン持ちなので、♭Ⅶ7からⅠに行くときだけDmになる!って二重機能を持っているって、書いてあったり。
マイナーの機能和声はかなり、グラグラな理論で混乱します。
あまり深く考えないで、マイナーの機能和声は「SDをSDmに入れ替えるとイイ感じになる」って所だけ押さえておけば、とりあえずOK。っ私は理解してます。
理論書読んでると、サブドミナントマイナーは必ず説明してあって分かりやすいんですが、TmやDmは全く触れないかTmもただのT。DmもD。って扱いされる本もあるっス。
わかりずらい。
私の頭じゃ上手く説明出来ないので、ご勘弁下さい。
まとめ
3つのマイナーのダイアトニックコードを混ぜて使えば、とても豊かなコード進行やアレンジが出来るようになるので、面倒くさがらず、メジャーのダイアトニックコード同様に押さえておきたい。
時間を掛けてゆっくり覚えるのが吉。
私は勉強嫌いなので、始めは運指トレーニングだと思ってマイナーのダイアトニックコードをウォーミングアップに使っていました。
ここから面白くなれば、シメたもので「ダイアトニックコード」の表を眺めながら、好きな曲のコード進行を探ってみたり分析てみたくなりますよ。
最終的には同主調のメジャーのダイアトニックコード混ぜ混ぜで使えます。
ここまで覚えれば、かなり自由にコードを組めるようになります。
感性や偶然を期待するよりも、この4つの「ダイアトニックコード」をイジり倒せば相当面白いコード進行が作れるはず。
なので、覚えて損なしっス。
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