コード進行に、ローマ数字のディグリーネームを振る練習。
さらに、ディグリーネームにケーデンス・ラインを書いてコード進行を分析する練習。
と、来まして最後の本丸は...
「分析したコード進行を書き換えてアレンジしてみる」
って事が、今回のコード進行分析3部作の最終テーマになります。
「ダイアトニックコード」と「ケーデンス(終止形」「セカンダリードミナント(2次ケーデンス)」「裏コード」4つの知識を理解していれば、既製のコード進行を簡単にアレンジすることが出来るようになります。
で、今回は前回分析した、問5のコード進行(DC/PRG・ミラーボールズの進行)を使って、アレンジの仕方を解説してみます。
ジャスト・ア・トゥ・オブ・アス進行とは?
問5で出した問題のコード進行は、菊地成孔先生率いるDC/PRGの「ミラーボールズ」のコード進行になります。
実は、このコード進行の元ネタはグローバー・ワシントンJrの「Jast The To Of As」って言う有名な曲のコード進行でして、通称「ジャスト・ア・トゥ・オブ・アス進行」と言われるこのコード進行っス。
「ジャスト・ア・トゥ・オブ・アス進行」って検索をかけると、ジャンルを問わず、「ドサドサっと」このコード進行を使った曲が出てくるほど流通しているコード進行です。
👆は「ミラーボール」のコード進行で、キーはCマイナーです。
パっと聴いた感じだと、マイナーの暗い感は薄められています。
いろんな押さえ方ありますが、私がギターで弾く時は、こんな感じ。👇
で、土台のコード進行はA♭M7➡G7➡Cm7で、これだけだと、相当暗い感じ。
👇ですが4小節目に、A♭M7のセカンダリードミナント「ツー・ファイブ」を引っ張り込む事で、A♭M7の明るさを強調。
7小節目、出所の分からないF7は「メロディックマイナーのⅣ7」で、このⅣ7は解決する力の無いセブンスコード。
役割としてはサブドミナントっス。
通常ならナチュラルマイナーのFm7を配置したくなりますが、このメロディックマイナーのセブンスコードF7が「切ない」ような「爽やか」なような感じが出ます。清涼感があって好きです。
Cマイナーの暗い進行ですが、間に明るい具材のコードを差し込んで、明るいマイナーって感じのサウンドになっております。
ブラックコーヒー的なA♭M7➡G7➡Cm7って進行に、
クリームや砂糖的なA♭M7を際立出せる「セカンダリードミナント」やメジャー系Ⅳ7サブドミナントを混ぜることで、
マイルドなチョット明るいマイナーを演出している作りになっています。
アレンジしてみよう。
アレンジする武器は、まずは「セカンダリードミナント」2次ケーデンスっヤツ👇と...
ドミナントコードを変換する「裏コード」ってヤツ👇です。
2つとも簡単な音楽理論で、この2つだけを駆使するだけで、相当なコード進行のアレンジが出来るので、覚えて損無し。
いろんなアイデアが生まれるので、適当に弾いてコード進行をアレンジするよりも「当たり」のコード進行が見つけやすいっス。
実際にアレンジしてみましょう。
まずは4小節目のセカンダリードミナントのB♭m7➡E♭7。
このE♭7を「裏コード」に、しちゃいましょう。
注。「裏コード」に書き換えた場合のケーデンス・ラインは👆のように点線で表記する書き方もあります。
裏コードの詳しい解説は、👆の記事を参照してもらって、簡単に「裏コード」とは、つまり...
Ⅴ7=Ⅱ♭7に変換出来る。
って事で、通常のダイアトニックコードのⅤ7だけじゃなく、セカンダリードミナント上のⅤ7・E♭7も「裏コード」のⅡ♭7・A7に書き換えする事も可能。
もっと簡単に言うと...
全てのコードの前に半音上のセブンスコード「裏コード」を設置することが出来る。
とも言えます。
👆この半音ずり下がる感じが「裏コード」の特徴っすね。これだけでも結構変わります。
さらに、イジっみると...
2小節目がちょっと寂しいので、G7の前にDm7を置いて、「ツー・ファイブ」化してみよう。👇
本来ならトニックがマイナーなので、Ⅱm7(♭5)が有力ですが、メジャー行きで使う、Ⅱm7のDm7を選択してもOKです。この辺はお好みで。
ギターだとこんな感じ。
うーん。好き嫌いが分かれる所っすねぇ。
じゃあ、もっとやっちゃえ!って事で、Ⅴ7・G7を「裏コード」Ⅱ♭7・D♭7にしちゃいましょう。
なんか「半音ずり下がり感」が、強くなって少々ウザったいなぁ...
やっぱり、この「ツー・ファイブ」はウザいので、裏のD♭7は残してDm7を消してみましょう。
あら!
こっちの方が、いいんじゃない?って事で、これを採用。
ここまで来たら、4小節目のB♭m7の前に裏コードのB7を置いてたら、「ベースラインがCm7から滑らかに半音おちるよなぁー」って事で、3小節目の最後に裏のB7を設置。
おぉ...中々アクロバティックな感じですが、これはこれでイイなぁ。
そうだ!!最初のコード進行は残して、このコード進行はエンディングの最後のコーラスに使えば、盛り上がるな!!
って感じで採用。
どうでしょう?
セカンダリードミナントと裏コードを抜き差ししただけですが、これだけでも新しいアレンジの可能性ってのが見えてくるんじゃないでしょうか?
もはや、「別の曲のコード進行って言ってもイイんじゃない?」ってほど変わります。
適当にコードを当てはめてみて、コード進行をアレンジするよりも、セカンダリードミナントや裏コードのように駒の動かし方が明確な物を、イジり倒した方が嵌りが良いアレンジになりますし、結構アクロバティックな感じにもなります。
まとめ
この「ミラーボールズ」のコード進行の解説は菊地成孔さんがニコニコ動画でやっている「ゼロからの音楽文法」の60回61回を参考に書いてみました。
興味のある方は、ご参考に。とても面白いっス。
今までは、
「音楽理論なんて難しそうだし、聴いたり弾いたりして楽しければ、それだけでイイじゃん。」
って思っていて音楽理論さけていましたが...
私も今まで音楽理論アレルギーでしたが、この「ゼロ文」キッカケで40歳超えてから、音楽理論を学ぶ事が面白くなってきました!!
「コード進行の分析なんて難しそう...」
って思いがちですが、名前からして難しそうな、「セカンダリードミナント」や「裏コード」なんかは、実にシンプルな音楽理論で使いやすいので、是非覚えておきたい所っス。
って言うか、すでに私たちは、このコード進行の形を何百曲も聴いたり弾いていたりしてるはずで、
「なんだ!!コレの事じゃん!!」
って話なんです。
わからないで聴いているのと、分かって聴くのとでは大分感じ方も変わってきます。
アカデミックになり過ぎても良くないんですが、音楽の内部構造ってのが分かると、また違った楽しさってのもある訳っス。
なので、今40歳超えてから音楽理論学ぶのが楽しいっスね。
今までの謎が解けた!!って感じです。お試しください。
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