この記事では、フロイドローズの弦交換の基本的なやり方と、基本形よりも簡易な交換のやり方。そしてチョット変わった超かんたんな弦交換を紹介します。
慣れてしまえばそんなに難しくないフロイドローズの弦交換ですが、手順を間違えるとチューニングが合わない地獄にハマってしまいます。
で、先に結論から言いますと、弦は全部外すのでは無く、1本ずつ交換するってのがベターなやり方になります。これならチューニングに4時間掛かるってことは無いんじゃないかなと。
えぇ! なんでそうなるんでしょう? 簡単ですが解説します。
フロイドローズの構造。
80年代初めに登場したトレモロ・システムでフロイド・D・ローズさんが考案したので一般的にチューニングロック式のギターはフロイドローズって呼ばれます。
激しいアーミングをしてもチューニングが狂わないように、この部分
で起こる狂いを抑えるために、ナットの部分を金属のプレートで弦を挟み付けるって力技でチューニングを安定させています。
さらにブリッジ部分は弦の引っ張る力で宙ぶらりんにして(これをフローティングといいます。)アームダウンだけではなく、アームアップも可能にし従来のトレモロ・システムよりも過激な音程の変化をすることが出来るようになりました。
この弦の引っ張る力で宙ぶらりんにしている仕組みがチューニングを合わせるのを難しくしている原因になっているんですね。
つまり1本の弦をチューニングするとブリッジを引っ張る力が変わっちゃうので他の弦も狂うってのがチューニング地獄の原因になります。
なので本番中に弦を切ってしまったらアウト。
すべてのチューニングが狂ちゃう。これが心配な方はブリッジをボディーにくっ付けるセッティングにする「べた付け」があります。アームダウンしかできなくなりますが、チューニングは安定します。
「フローティング」の反対用語「べた付け」って感じ。
フロイドローズの弦交換の手順。基本編。
ちなみに弦交換する時に、便利な道具として最近気に入っているのが、アーニーボールの「パワーペグ」って言う電動のペグ回し機。地味に面倒くさいペグ回しが、とても楽ちんになります。
- まずアームダウンして、クロスをブリッジに挟みます。
クロスを挟んでフローティング状態を作っちゃいます。
-
ペグを緩める。
- テンションバーを外す。
- 6角レンチでロックナットを外す。
プレートの向きとか、わからなくならないように、キチンと外した順に並べます。
- ストリングスクリューを緩めて弦を外す。
- ペグから弦を外す。
- ブリッジや指板の掃除をする。
- 新しい弦のポールエンドをカットします。
6弦~4弦の巻弦は太くなっている所の、2ミリくらいを残してカットするのが定石です。理由は巻いてる線のほつれ防止や、スッポ抜け防止など諸説あります。
3弦~1弦のプレーン弦は太い部分は残さずカット。 -
ブロックの間に垂直に弦を底に当たるまで差し込んで、スクリューを締める。
- ブリッジ部分の弦の付け根に軽く折り目をつける。
- ペグに弦を通す。
- テンションバーをつける。
金属プレートに弦がピタッと付くまでバーを下げます。弦が浮いたままロックしちゃうと音程が狂うのでピタッと付けます。
- ロックナットを軽く固定。
- ファインチューナーを真ん中にセットする。
-
ペグを回してチューニング。
3弦ー4弦―2弦ー5弦―1弦ー6弦の順でチューニングするとバランス取りやすいっス。 - クロスをを取ってフローティングの状態を調整する。
水平になるようにパネル裏のビスをドライバーで調整します。
- チューニングとフローティングの調整を繰り返して水平の状態でチューニングをあわせる。
- ロックナットを締めて、ファインチューナーで微調整して終了。
指板もブリッジも綺麗になりましたが、やはりチョット面倒くさい。
フロイドローズの弦交換。簡単バージョン。
指板を掃除したり、ピックアップを交換する場合などは基本編でやって、弦だけサクっと交換したい場合はこちらの方法。
- 6角レンチでロックナットを外す。
- 古い弦のままチューニングとフローティング状態を完璧にする。
3.1弦だけ外します。
4.新しい弦のボールエンドを切って、1弦だけ弦を張ります。
ごめんなさい。写真は6弦になっていますが1弦から2~6弦の順で交換した方が弦の引っ張る力が少なくなるのでチューニングしやすいです。
5.チューニングします。(12フレット部で弦を3~4回引っ張って弦をなじませてからチューニングするとくるいにくいです。)
6.2弦。3弦。4弦。5弦。6弦って感じで1本ずつ張ってチューニングします。
7.ファインチューナーを真ん中にセットします。
8.チューニングして6角レンチでロックナットを締めます。
9.ファインチューナーで調整して終了。
どうでしょう?こんな感じで1本ずつ弦を交換すれば、ブリッジのバランスを崩さずに弦交換ができます。これならチューニング地獄にハマる事は無いと思います。
基本編より超簡単です。
変わり種。超簡単なフロイドローズの弦交換。
今回色々調べていたらこんなやり方の弦交換を見つけました。
えぇー!!マジか!大丈夫なのこれ?
そう。ボールエンドを切らずにペグに通すってやり方。知らなかったわ。
そもそもナットの部分でロックしちゃうんだからペグの部分は引っかかっていれば問題は無いようにおもいます。(ボディーに響かないなどの音質的問題?あまり違いが分からないなぁ。)
これだと弦切る回数が減るのでさらに簡単に交換できます。試しにどんなものかやってみました。
1.ロックナットを外す。
2.1弦を外してボールエンドをペグに引っ掛かけて弦を張ります。
3.弦を切ります。
4.ブロックに底まで差し込んでチューニング。
5.2弦ー3弦―4弦ー5弦―6弦と1本ずつ張っていきます。
6.ファインチューナーを真ん中にセットしてペグで再びチューニング。
7.ロックナットを締めてファインチューナーで微調整して終了。
いやぁー今までで1番速く弦交換できました。
今回初めてやるやり方なので、やって見ての感想や不具合などは、後ほどご報告いたします。
まとめ。
指板やブリッジの掃除などやる時は基本編でやって、普段の弦交換は1本ずつ交換する、簡単バージョンでやるって感じで落ち着くと思います。
どっちのやり方をする場合でもコツはフローティング状態をキープして弦を交換すれば面倒くさくないよーって事ですね。
ボールエンドをペグに通すやり方はどうでしょう?確かに一番速く交換出来ましたし、多分問題無いんじゃないかなぁー。でも楽器屋さんでコレやられたらチョット嫌だなぁー。
とりあえず経過観察でって感じで保留っス。
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