コードの右上に付いている謎の数字。
これは「テンション」と言いまして、3和音・4和音の基礎コードにトッピングして彩りを豊かにする役目の音であります。
我々メタラーのギタリストにとっては
「ジャズ系の難しいコードや!」
って感じで、毛嫌いする方も多いのでは?
ハードに歪んだギターサウンドの中では、「ぐしゃぐしゃ」になるのでメタルでは、あんまり必要ないんですが、クリーントーンでのアルペジオなんかでテンションを知っていれば、メタル系の曲作りの際でも色んなアイデアが得られるはず。
で、今回は「脱パワーコード」の一環として「テンション」を取り上げてみます。
中も一番、使用頻度が高く、簡単で使い勝手がイイ「9th」を徹底攻略!!
まず入門編で、9だけを弾きまくって「テンション」に慣れよう!!って作戦です。
「テンション」アレルギーのメタル兄さんにも習得できる練習法を、ご紹介した記事になっております。
「テンションコード」とは?
通常の基礎コードは、ルート・3度・5度の3和音(トライアド)。もしくは7度(セブンスコード)を足した4和音で構成されております。
👆ギターだと基礎コードの3和音・4和音に加えてオクターブ上の基礎和音を乗せると、お馴染みのCのコード&Cメジャーセブンスが出来上がります。
M3(長3度)を半音下げてm3(短3度)下げる事でマイナーコードに・・・
P5(完全5度)を半音上げれば#5(増5度・aug)半音下げれば♭5(減5度・dim)・・・
M7(長7度・メジャーセブンス)を半音下げれば7(短7度・セブンス)さらに半音下げれば(減7度・dim7)に・・・
って感じで、3度・5度・7度の上げ・下げを組み合わせて基礎コードを作ります。
で、「テンション」とは、更に上。9度・11度・13度の音を混ぜた和音になります。
👆9度・11度・13度のあいだ。10度・12度・14度は基礎コードの3度・5度・7度のオクターブ上なので「テンション」としては扱わず、基礎コードの音として扱います。
また、ポプュラーミュージックでは、ルートの最低音から上の2度・4度・6度。さらに上の上。15度・17度・19度の音をトッピングした場合も、全て9・11・13って表記しちゃう。
つまり...👆のようなCメジャーの場合、ルートから上の「レ・ファ・ラ」のコードトーンはすべて「9・11・13」扱いで表記できる。
2度・15度=9 4度・17度=11 6度(M6は6で表記しますが)・19度=13って扱いにされます。
なので...
「テンション」と呼ばれるコードの右上に付く数は「9・11・13」だけである。 注・(♭5)と(#5)は、テンションじゃないよ。
3つだけ。
この3つが#したり♭したりすることで、基礎コードでは表現出来ない、彩り豊かな響きのコードを作る事が出来る様になります。
ラーメンのトッピングに似ていますね。
器とスープと麺が3和音でチャーシューが入ると4和音。これが基礎コードで
+トッピングでナルト(9th)ネギ(11th)バター(13th)って辺りが「テンション」の役割でしょうか。
器(ルート音)とスープ(3度)と麺(5度)そこに+チャーシュー(7度)があれば、シンプルなラーメン(基礎コード)の完成!!ってイメージ。
逆にメタル系御用達のパワーコードは、器(ルート)と麺(5度)だけで何味(マイナーかメジャーか)なのか、わからいコードって感じ。
で、そのラーメンの上にトッピング出来るのが、「テンション」で、数や具材は基本自由。
ですが、相性悪い具材や、全部乗せちゃうと「どろどろラーメン」になりますよって話。(「全部乗せが好きだ!」と感じれば、それもまた良しですが)
なので、トッピングは変な具材や、乗せすぎにならないように、センスよく行きたいところ。
鍵盤楽器なら「テンション全部乗せ」は可能ですが、
ギターの場合、全押さえが難しいので、綺麗に響かせるなら4和音までがベター。
なので実践では完全5度を省略して、9をトッピングしたり、オクターブを上げてトッピングしてあげる、などして響きの良いテンションコードを作るのがコツになります。
「ナチュラル・テンション」と「オルタード・テンション」とは?
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド。などのスケールの中だけでトッピングするテンションを「ナチュラル・テンション」って言います。👇
「ナチュラル・テンション」の中には♭9が付く場合もありますよ!
スケールの音だけでトッピングするテンションを「ナチュラル・テンション」
「ナチュラル・テンション」は、あまり癖が無く自然な感じで、割と安全なトッピングってイメージです。
対して、スケールから外れた音を、あえてトッピングするテンションを「オルタード・テンション」って言います。
Cメジャーの鍵盤で言うと、黒鍵盤がトッピングされていきます。
ラーメンのトッピングで例えるなら「焦がしバター」や「焦がしネギ」といった苦味のある具材をトッピングするイメージ。
オルタードをトッピングすると「ジャズ」の風味が「グッ」っと強くなります。
我々ロックギタリストに馴染み深い「ジミヘンコード」って呼ばれている、Ⅴ7(#9)はスケールから外れた「オルタード・テンション」で苦いトッピングですが、中々の美味。
「アヴォイド・ノート」とは?
一応「禁止音」と呼ばれるテンションの事で、「食い合わせが悪いトッピング」って感じ。
ルールは極めて簡単でして...
コードの中に1オクターブと半音(つまりフレット13個分)の間隔の音程は「アヴォイド・ノート」とする。
もっと簡単にいうと、13フレット分の半音に限らず、半音で隣り合う「半音ぶつかり」の和音。
実は、「安全パイ」とされている「ナチュラル・テンション」にもアヴォイドノートは、含まれていていて、典型的な例としては、CM7(11)
👆の1弦1fのFは、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドのファの音で、れっきとした「ナチュラル・テンション」ですが、4弦2F(ミ)と1弦1f(ファ)が1オクターブと半音(フレット13個分)なので高い音の1fが「アヴォイドノート」になります。
これから弾きまくる9だと、ダイアトニックのⅢm7(♭9)・Ⅶm7(♭5・♭9)もアヴォイド対象。
♭9=フレット13個分なので「アヴォイド」に引っ掛かります。
なので、理論書ではⅢm7(♭9)や、その他11・13で「アヴォイドノート」に引っ掛かる「テンションコード」は、無き者として除外される場合があります。
コードブックなんかで、「あれ?なんでこのコードのテンションの押さえ方ないんだろう?」
ってのは、この辺が理由っすね。
一応、禁止音と書いたけど、別に使ってもOK。
確かに不協な響きって感じもしますが、耳が鳴れると悪くない気もしてきます。
なので...
「アヴォイドノート」は自分が聴いて不快じゃなきゃOK。自分が不快に感じたら「アヴォイド」
50年後には、なくなっているかもね。
とにかく現実問題として、作曲や演奏で「アヴォイド・ノート」を完全に避けるって事は、無理ですし、アヴォイドノートを意識しすぎた作曲や演奏は、イマジネーションを著しく阻害するので、気にしないのが正解。
なので、今回は「アヴォイド・ノート」も含めた「ナチュラル・テンション」を練習します。
なんだか、わかんないまま除外するより、飲み込んだ上で「自分でアヴォイド」する!ってのが狙いです。
一応、知識として「1オクターブ上と半音(13フレット分)」の音程のテンションは、食い合わせが悪いよって、感じで軽めに覚えておきましょう。
ダイアトニックコードに9をトッピングしてみよう。
この際、今までの難しい話は、どーでもイイ。ここから読んでもOK。
とにかく、コードにテンションをトッピングして味わってみましょう。
「自由にトッピングしていい!」
っていっても自由すぎるので、今回はメジャースケールだけで作る「ナチュラル・テンション」の「ナインス」をトッピングしていきましょう!!
特に9は、どのコードにトッピングしても変な味にならないし、9の押さえるポジションも簡単なのでココを「テンションコード」の入門編といたします。
まずは、コード進行の大基礎。「ダイアトニックコード」
👆これが分からないと、この先の話がツラいので、「わからない!!」って方はコチラから。
要は、メジャースケールの中だけで作った、基礎コード群で、これらに順列と役割があります。
順列ってのはローマ数字のⅠ・Ⅱ・Ⅲとかってヤツで
役割ってのはトニック(Ⅰ)・ドミナント(Ⅳ)・サブドミナント(Ⅴ)ってヤツです。
この「ダイアトニックコード」に「ナチュラルテンション」の9をギターでトッピングしてコード進行を作ってみましょう。
ギターのコード・ブック見て、9の押さえ方を覚えるんじゃなく、
「基礎コードに1個トッピング!!」
って感じで覚える練習法です。
経験上、
本屋で買ったコードブック見て、押さえ方を覚えた「テンションコード」は全然記憶に残らない!!」
押さえ方。すぐ忘れるっス。
この問題を、解決するのも今回のテーマの1つになるっス。
手順1。完全5度を省略した、ダイアトニックコードを押さえる。 5弦・ルート編。
9のテンションをトッピングしやすくする為に、まず完全5度を省略したコードフォームを覚えます。
5弦をルートに置いたM7・m7・7の押さえ方は、以下の通り。👇
👆完全5度は省略して問題ないんですが、メジャーダイアトニックコードのⅦ番目に出てくる、m7(♭5)の減5度は、このコードにとって重要な音なので残します。(仕方ないので2弦にあるm3が省略対象)
練習メニューとして、Cメジャーの5度省略のダイアトニック、EX-1を提示しておきます。ウォーミングアップ用にどうぞ。
手順2。2弦にテンションをトッピング。
先ほどの「5度省略コード」に9のテンションをトッピングしていきます。
仕組みとしては、5・4・3弦は基礎コード用で、2・1弦はトッピング用の弦って感じで、イメージすると良いでしょう。
で、5弦ルートに置いた時のコードの9のポジションは...
👆ココ!!
省略コードを押さえて、余った指でココを押さえる。ここが9のポジション。
5弦にルートを置いた場合は、2弦の同じフレットがテンションの9!!
って覚えると簡単でしょ?
このポジションを半音下げて(1フレット)ずらせば♭9。
半音あげれば「ジミヘンコード」で有名な#9になります。
コードブックで、押さえ方を丸覚えするよりも、5・4・3弦で基礎コード。2・1弦でテンショントッピングって覚えた方が楽ちんで、記憶に残りやすいっス。
ダイアトニックコードに「ナチュラル・テンションの9」をトッピングしてみましょう。
まずは「ナチュラル・テンション」の間違った認識の例。
何も考えずナチュラル9(ただの9ね)をトッピングした例。👇
「ナチュラル・テンション」とは、スケールの中だけでトッピングするテンションなので、Ⅲ番目にナチュラル9を、そのまま入れるとファの#で、スケールから外れます。
なので、「ナチュラル・テンション」にするには、Ⅲm7(♭9)が正解。
同じ理由で、Ⅶm7(♭5)も9じゃなく(♭9)が正解。
ダイアトニックコードに「ナチュラル・テンション」の9をトッピングした正しい例。👇
五線譜みると分かりやすい。
Cメジャースケールは五線譜に♭・#が付かない世界なので、何も考えずに9をトッピングすると、スケールから外れ#が付いてしまします。
👆はⅢとⅦに♭9を入れてスケール内に収めているので、五線譜に#・♭が付かない。
鍵盤楽器で例えるなら、白鍵盤だけの世界。それがCメジャースケール。
表にすると...
注・♭9は「アヴォイドノート」になりますが、先ほどのアヴォイドの説明通り、あえて気にしない方針で弾いてきます。
余談ですが、同じ要領でテンションの11・13に「ナチュラル・テンション」をトッピングした場合の#・♭を表にすると...(アヴォイド・ノートは無視た場合)
👆キーCならすべて白鍵盤で収まってます。これが「ナチュラル・テンション」。
今の段階でこの表は、「なんとなく」でOKです。まずは9だけ集中しましょう。
これで、5弦ルートの9は楽勝っス。
手順3。完全5度を省略した、ダイアトニックコードを押さえる。 6弦ルート編。
5弦ルートだけじゃ、使い勝手が悪いので6弦ルートも覚えましょう。
6弦をルートに置いた、M7・m7・7の押さえ方は以下の通り。👇
5弦ルート同様、m7(♭5)の♭5は省略せず。3弦のm3はテンションをトッピングした時に響きが悪いと思えばカット。
イケそうなら押さえてもOKです。
で、私がやっている押さえ方は以下の通り。👇
M7 6弦-人差し指 4弦ー中指 3弦ー薬指
㎡7 6弦ー中指 4弦・3弦―人差し指セーハ
7 6弦ー中指 4弦・3弦ー人差し指セーハしながら3弦ー中指
m7(♭5)6弦ー中指 5弦ー薬指 4弦・3弦ー人差し指セーハ
👆の押さえ方なら、テンション使う小指が動かしやすいかなと。
もちろん不要な弦のミュートも確実に。
押さえ方は色々で、自分の押さえやすい、やり方で研究してみて下さい。
EX-3は6弦ルートにおいたCメジャー5度省略のダイアトニックコード練習👇
こちらも上昇・下降を弾いて、ポジションを覚えて行きます。
手順4。1弦にテンションをトッピング。
6弦ルートの「5度省略コード」に9のテンションをトッピングしていきます。
こちらは、6・4・3弦で、基礎コードを押さえて1・2弦は「テンション」用でトッピングするイメージ。
で、6弦ルートに置いた9のポジションは...
👆ココ!!
省略コードを押さえて、余った小指でトッピングしていきます。
1フレット下げれば♭9。1フレットあげれば#9になります。(#9はちょっと押さえるの大変ですが)
EX-4は、6弦ルートでCメジャーのダイアトニックコードに「ナチュラル・テンション」の9をトッピングした例。
で、👆のDm7・Em7とG7・Am7の(かっこ)で示した2弦なんですが、省略せず、完全5度を押さえてもOK。
むしろ、人差し指セーハで押さえた方が、やりやすいし、響きも良いので押さえちゃいましょう。
👆こちらも「ナチュラル・テンション」なので、Ⅲm7のEm7とⅦm7(♭5)のBm7(♭5)は♭9になります。
まとめ
このように、1・2弦はテンション用。3・4・5・6弦は基礎コード用ってイメージで、ポジションを取ると、難しいと思われる「テンション・コード」も、分かりやすいし、覚えやすくなるはず。
最後に凡庸なコード進行に、9の「ナチュラル・テンション」をトッピングしてみて、9のテンションを味わってみましょう。
ってコード進行。「よん・にい・さん・ろく」って、よくあるコード進行ですが...
これに先ほどの押さえ方を駆使して、テンションをトッピングしてみると...
どうでしょう?
9の「ナチュラル・テンション」を入れただけですが、だいぶ色彩が良くなったんじゃないでしょうか?
こんな感じで、単純なコード進行に9をトッピングするだけで、結構イイ感じになるので、皆さんの好きな曲のコード進行に9をトッピングして遊んでみましょう。
次回はさらに9のテンションを深掘りしていきます。
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