前回はメジャーの「ダイアトニックコード」の作り方と、練習方法について書きました。
で、今回はマイナー編なんですが、メジャーに比べて、ちょっとややこしい。
先に結論をいいますと...
マイナーのダイアトニックコードは「ナチュラルマイナー」「ハーモニックマイナー」「メロディックマイナー」の3つのダイアトニックコードを統合したものである!!
えぇ!!そうなの?
これは、文部省公認でして中学校の音楽の教科書にも載っている。
昔、なんで3つマイナーのスケールを覚えなくちゃいけないんだ!!面倒くせー!!って思っていたんですが、(ナチュラル1個でよくね?)「ナチュラルマイナーだけでは不完全」って理由で3つのラインを作る事になったわけです。
「何のこっちゃわからーん!!」って思っちゃいますが、それぞれの「スケール」の生い立ちを順に追っていくと、3つのマイナーとマイナーの「ダイアトニックコード」の構造が「スッキリ」わかりやすくなります。
3つのマイナーの「ダイアトニックコード」を使えばマイナー系のコード進行が劇的に豊かになりますので、是非覚えて曲作りに役立てて頂ければ幸いです。
ナチュラルマイナーから順を追って「ダイアトニックコード」を見てみましょう。
ナチュラルマイナーの「ダイアトニックコード」を作ってみよう
学校の教科書だと「自然的短音階」って呼ばれるスケール。
なんで「自然的」かって言いますと、メジャースケールの6番目の音を1番目に見立てスタートさせると音をイジらなくても「自然に」「ナチュラルマイナー」のスケールになる。
つまりCメジャースケールからAナチュラルマイナースケールを自然に取り出せる事が出来る!!。って意味で自然的マイナースケール。って呼ばれる訳です。
このCメジャーとAナチュラルマイナーの関係を「平行調」と呼びます。
詳しくはこの記事で。
で、CメジャーをCマイナー化する方法もありまして...
メジャースケールの3番目・6番目・7番目を♭(半音下げ)させると「ナチュラルマイナー」のスケールになります。
CメジャーとCマイナー。同じキーのメジャー・マイナーの関係を「同主調」って言います。
CメジャーAマイナー=「平行調」
CメジャーCマイナー=「同主調」
話を「ダイアトニックコード」に戻します。
では、前回同様にキーをCで「ナチュラルマイナー」で「ダイアトニックコード」を作ってみましょう。
3和音と(トライアドコード)セブンスを足した4和音がありますが、4和音が基本になりますので、面倒くさがらず、4和音でこのコードの並びを覚えちゃいましょう。
実際にギターで弾くと...
って響きになります。
練習前のウォーミングアップに、この「ダイアトニックコード」を上昇・下降で運指練習をすれば響きも覚えられるので、活用してみましょう。
ナチュラルマイナーの「ダイアトニックコード」の覚え方は?
メジャーの「ダイアトニックコード」をしっかり覚えていれば、簡単に導く事が出来ます。
メジャーのダイアトニックコードの6番目、Ⅵm7をスタートにした序列のコードがナチュラルマイナーのダイアトニックコードになります。
ディグリーネームで書くときは、ナチュラルマイナーなのでディグリーネームの背番号を変える(Ⅲ♭・Ⅵ♭・Ⅶ♭)のも忘れずに。
「ハーモニックマイナー」のダイアトニックコードを作ってみよう。
我々メタラーにとっては、イングヴェイの速弾きでお馴染みの「ハーモニックマイナー」ですが、本来は別の仕事があります。
「ナチュラルマイナー」のダイアトニックコードが出来たんですが、実はこの「ダイアトニックコード」には、大きな問題がありまして...
ダイアトニックの花形的位置のⅤ。このⅤm7が役不足で弱い。
やはりⅤは減5度の不協和音を持つⅤ7が相応しい。
そこでⅤ7を作るために「ハーモニックマイナー」スケールを導入することになりました。
ナチュラルマイナーの♭Ⅶを半音上げてⅦに改造したスケール。
これで「ダイアトニックコード」を作ると...
これで念願のⅤ7を作ることが出来ました。めでたしめでたし...
「和声的短音階」って名前の理由が、これでよくわかりますね。
我々メタラーは、イングヴェイの速弾きスケールってイメージですが、本来は「Ⅴ7」を作るためのスケールってのが仕事だったんスね。
ギターで弾いてみると...
「ナチュラルマイナー」1本だけだと、凡庸なコード進行ですが、「ハーモニックマイナー」を混ぜた2本の「ダイアトニックコード」にすると、とても豊かな響きのコード進行が作れるようになります。
適当に繋いで弾いても、イイ感じなるので、色々遊んでみるとイイっス。
「ハーモニックマイナー」のダイアトニックコードの覚え方。
ナチュラルマイナーとハーモニックマイナーのダイアトニックコードを見比べてみると...
変化するのは、1個置きのコードで残りは引き継ぐ形になります。
ⅠにmM7。♭ⅢにM7(#5)。Ⅶにdim7って新しいコードが加わりⅤの所に7が返り咲きます。
Ⅰ・♭Ⅲ・Ⅶの所の新しいコードが覚えずらいですが、ここさえ覚えればⅡ・Ⅳ・♭Ⅵはそのまま据え置きって感じです。
ディグリーネームが♭ⅦからⅦに変わるのもお忘れなく。
こんな感じで、見れば割と覚えやすくなります。
これも毎日1回でも紙に書くとイイっス。
「メロディックマイナー」のダイアトニックコードを作ってみる。
晴れてⅤ7をマイナーのダイアトニックコードに導入する事が出来たんですが、新たな問題がありまして...
「ハーモニックマイナー」の♭Ⅵ-Ⅶの1音半の間隔が気持ち悪い。
「なんか中近東フレーズぽくて嫌」ってクレームがでてきたので、新たに改造する事に...
ハーモニックマイナーの♭Ⅵを半音上げてⅥに。「メロディックマイナー」スケールを新たに作ることに。
こうしてみるとⅢが♭になっているだけで、ほとんどメジャースケールに近い感じのスケールになります。
ここで「メロディックマイナー」には面倒くさいルールがありまして...
なんだこの「謎ルール」って昔、思ってたんですが...
弾いてみるとわかるんですが、上昇する時は♭Ⅲがいるので、マイナー感が出ますが、下降する時はメジャースケールと区別がつかなくなるので、
降りるときは「ナチュラルマイナー」で下降します。
実用的なメロディーを作るスケールなので「旋律的短音階」って教科書にも載っています。
話をコードに戻しまして「メロディックマイナー」で、ダイアトニックコードを作ってみましょう。
メジャースケールのⅢが♭Ⅲになっただけのスケールですが、これでダイアトニックコードを作ると複雑な序列のコード群が出て来ます。
ギターで弾くと...
同じコードが続くので、割と押さえやすく、覚えやすいかも。
「メロディックマイナー」のダイアトニックコードの覚え方。
ハーモニックマイナーとメロディックマイナーのダイアトニックコードを比べてみましょう。
ⅠmM7・♭ⅢM7(#5)・Ⅴ7はハーモニックマイナーから据え置き。Ⅱにm7が返り咲き。
複雑な感じですが、麻雀の七対子みたいに、Ⅳ・Ⅴが7で同じ。Ⅵ・Ⅶがm7(♭5)で同じ。って特徴的な並びになります。
この特徴を掴めば、割と覚えやすくなります。
以上この3つの「ダイアトニックコード」を混ぜ混ぜで使うと、マイナー調のコード進行は、とても豊かな響きになりますので、是非覚えてみましょう。
3本の「マイナーダイアトニックコード」を実践で使ってみよう。
3本の「ダイアトニックコード」を表にまとめますと...
♭3つ付いた「ナチュラルマイナー」。これが一番重くて暗いスケールで、♭が1つずつ取れて、段々軽く明るい感じになって、最後はメジャースケールになっちゃう。って見方も出来ますね。
この3つの「ダイアトニックコード」を混ぜた代表的なコード進行に「ライン・クリシェ」があります。
古今東西・数多の名曲を生んだ「ライン・クリシェ」。
一見すると出所がわからないコード進行ですが、実は3つダイアトニックコードに、全て当てはめる事が出来るんです。
例えば...Cmのトライアドコードから始まる「ラインクリシェ」
パッと見て、出どころが良く分からないCmM7やF7なんかも👆の様な軌跡をたどれば、すべて3つの「ダイアトニックコード」から導くことができます。
もちろん自分のセンスで自由に選んでOKです。
いろんな可能性がありますので、自分でいろいろ試すとイイっスね。
さらに3つプラス同主調のメジャーダイアトニックコードを混ぜる事も出来ます。👇
ここまで来ると「ダイアトニックコード」だけでも相当なコード進行のバリエーションが考えることができる様になります。
無学の勘だけで、コード進行を考えるよりも4つの「ダイアトニックコード」をチョイスするだけで、面白いコード進行が作れます。
まとめ
このように、「ナチュラルマイナー」「ハーモニックマイナー」「メロディックマイナー」って順を追って解説すると、この3本のマイナースケールの意味が良くわかると思います。
この3本3つの「ダイアトニックコード」を使ってマイナーのコード進行が作られる訳です。
ラインクリシェのコード進行を分析すると分かりやすく、「ナチュラルマイナー」だけでは作れない豊かな響きのコード進行が作れます。
メジャーの「ダイアトニックコード」同様に、紙に書いてこの3本(ちょっと多いですが)の「ダイアトニックコード」の並びを覚えちゃいましょう。
マイナーの曲を作曲する際に、とても役に立ちます。
合わせてギターで弾いて、響きと押さえ方を覚えちゃいましょう。
あまり難しく考えないで、ウォーミングアップ用の、運指練習だと思って毎日弾いていれば、「ダイアトニックコード」の序列・響き・押え方が、自然に身に付くようになりますので、面倒くさがらず4和音で覚えてしまいましょう。
今はよくわからなくても、きっと役に立つはず。
にほんブログ村
にほんブログ村